TASK FORCE KZL

じわじわ進めている SEAL 装備、本日はどうしても避けては通れない、通信機器のお話。

Navy SEALs は海軍の特殊部隊ですので、もともと上陸作戦を含む水辺の特殊任務を得意とする部隊なんですが、その際重要になってくるのが各装備の防水/耐水性能です。Crye の コンパンが Navy Custom だとファスナーではなくボタンフライだったり、ステンレスの SIG を使ってたりするのも、海水に浸かったときに錆びないためと言われています。そして装備の中でも水に対して最もデリケートなのは、電子機器である通信デバイスです。

通信機器の要であるラジオ本体です。もちろんこれは特小無線機を仕込むダミーラジオですが。


PTT に向かうケーブルのコネクタが6接点のものになっています。これはアーバンコネクタといって、2mほどの防水性能しか持っていません (実物の場合。ダミーラジオは多分雨に降られただけでも浸水します)。これでは潜水艇で長時間海中を航行して上陸するような作戦もこなす、SEAL の通信機器としては不十分です。


とりあえずラジオ本体は置いておいて、PTT を見ていきます。TEA (Television Equipment Associates) 社製の Universal PTT という製品です。


有名なチーム10の写真を一部拡大したものですが、このあたりの時代はこの PTT が圧倒的に使われています。


この PTT は、ヘッドセット側、ラジオ側共に、通称マリタイムコネクタといわれる10接点のコネクタが使用されています。このコネクタは20m もの防水性能を誇り、海中任務や上陸作戦にも十分耐えうるものです。


裏側にはクリップが装着され、ストラップやMOLLE に固定できます。クリップは360度回転して、好きな角度で取り付けることが可能。


ヘッドセット側のケーブル。10pin のメスコネクタとヘッドセットのピンジャックが刺さるコネクタで構成されています。これで COMTAC など一般的なヘッドセットを接続できます。

と、ここまではよかったんですが、


PTT からラジオに向かうケーブルの、ラジオ側のコネクタがアーバンコネクタになっています。いや、現状のラジオはアーバンなのでつながるんですが、SEAL 的にはまずいわけです。


というわけでこんなものを買ってみました。Toy Soldier 製の 10pin U94 PTT です。一見普通の NEXUS PTT ですが、ラジオ側のコネクタが 10pin になっているモデルです。

これでコネクタの数的には、ラジオに付けるオスコネクタひとつを残して揃ったことになりますが、まだまだ先は長そうです。

準備段階ということで、中途半端な記事になってしまいましたが、SEAL に限らずラジオ周りは本当に勉強不足でわからないことだらけですが、少しずつ調べていこうと思います。


おまけ: 上記のように防水性能が求められる作戦が多い部隊には、10pin のマリタイムコネクタを備えた PRC-148が支給されているのですが、ハンドマイクなどのアーバンコネクタのアクセサリが付けられず不便です。

SEAL ではなく MARSOC の写真ですが、ラジオのコネクタがやけに長く見えます。


これは KF アダプターといって、10pin のマリタイムコネクタに6pin のアーバンコネクタを接続するためのアダプターです。ちなみにこれも Toy Soldier 製のレプリカ。


このように反対側は6pin。これでラジオを10pin 仕様にしちゃっても、既存のアーバンコネクタ用機器を使用できます。